「巡るサービス」

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ホテルグリーンコアという、いわゆるビジネスホテルの会社に焦点を当てた紹介本。
著者はホテル業界の勉強会・事業等をしている。その受講生の中でも特異な、ビジネスホテルという価格競争が激しい業界において、高いリピート率と増収増益を重ねてるこのホテルを取材、実情を丸裸にしている。

以下は(というか元々)自分向けのメモなので、本の内容のうち、トピックと、そのうち汎用的に使えるもの/特異ケースに分類して記載する。
特にこの手のドキュメンタリ−チックな本は特異ケースも多いので、抽出する必要性を感じてそうする。

■汎用的に勉強になる部分

  • 結局、事業を興すには死ぬほど仕事しないとダメ。
  • コアコンピタンスのうち強力なもののひとつは「文化の醸成」。変革の30%ルールというのがあるらしいが、トップもしくはある一定の割合で「特定の文化を持つ」人がいて、それを継承していく意識があると染まっていくようだ。この流れをどう作るか、というのは重要なんだろう。
  • モチベーションを継続できる組織:誰が来るか、にもよるけど、こういう人たちのモチベーションを高く保ち続けられるようなビジネスにする、というビジネスの作り方は重要だと思う。それが楽しく働ける場所になり、それが仕事の質になり、収益源になる。
  • 「成功するかしないかを不安に思うのではなく、成功させるにはどうしたらいいかを考える」:これはいい言葉だと思う。やる、やらないで花占いしている暇があるなら、まず動いて、その活動をどうやってうまくやるかを考える方が結果的に成功すると思う。やらないとわからないし。やってダメなら次行けばいいし。
  • 「ホテルなんてランニングがかからないから、まずやるにはいい」:ホテルで「投資が少ない」という考え方はすごいと思った。個人的に。理由はランニングコストで、確かに普通の事業なら品物の出入りがあるから、人件費以外にもそういう品物コストが大きいんだよね。ハコモノはそれはそれで初期投資があると思うんだけど。。。
  • 本質的な問いをする:「頭がいくつも集まって考えられれば、自然と正しい答えは出る。問題は、問いが正しいか、だ。」とのこと。例えば「どうやって儲けるか」じゃなくて、「我々が提供している価値は何か」とか。答えは、問いに対して出る。
  • 会社は歯車が欲しいが、社員は唯一無二が欲しい。でも、実は両立させることはできる。という話はかなり新鮮で思慮深いものだった。社員がいなくなったら、同じ仕事はできない。でも、仕事自体が全て動かなくなることはない。ということ。

■特異なケース

  • ゆとりある暮らし:これがないと、心が豊かに育たないみたい。
  • 自営業による仕事観:1週間7日仕事するのが当然、という文化。
  • 人間にコミットする意識(初期):初めのトリガ、もしくは事業のコアコンピタンスとして「人間が好きで、人のために何かしたい」というものを作っていくのは、元来もつ性格や考え方が強い。これは好み良しあしがあるのだろう。(いや、いいことなんだけどね)
  • マインドマップ、チャットワーク、全脳思考:アプローチは色々あるけど、当たる外れるはあるんだろう。脳を色々考えられるようにシャッフルする方法は多く持っておいた方がいいとは思うけど、これが自分のビジネスに合うかどうかはわからない。一方、こういう色んなツールなり考え方なりを継続的に勉強して、積極的に適用するということはどこでも重要なんだろうな。


こんなとこ?
感想としては、ドラマ的な話の流れなので、読みやすいけど残りにくい。残すためには自分で工夫が必要。具体的には、例えば経営陣の家庭環境なんかが1章書いてあるんだけど、これは「背景」であって、「自分たちに適用する」という考え方で読まない。明確には書いていないんだけど、彼らのビジネスコアは「文化」であって、これを醸成するための方法の一つが書かれているということ。とか。
あと、リッツカールトンと雰囲気は似てるんだけど、これをビジネスホテルでやるというのがすごいところ。値段本当に1桁違うしね。でも、リッツカールトンと違って人に依存している部分が大きいから、一人こけても動かせるようにどうやっていくかは今後の課題かな。

僕はダブルスタンダードが好きで、基本的なところから行くと、自分が自分に求めるものと、他の人に求めるものはあえてずらしている。当然他の人の方が低い。そうすることで自分の成長を止めず、かつ他の人に対するストレスを作らない(結果として自分の生産性が上がる)ということを両立できる。
ということを考えながら、「歯車と唯一無二」のあたりの考え方を読んで、これは自分に取り込みたいなと思った。これがある意味一番の成果かな。